「リズと青い鳥」を見ました。気づいたら2回見てた。
京都アニメーションが送るTVアニメ「響け!ユーフォニアム」「響け!ユーフォニアム2」に続く新作ストーリーです。響け!もおもしろい作品でしたが、その期待にしっかりと答えてくれた映画でした。
以下ネタバレ含むので未視聴のオタクは早く劇場行って見なさい、県庁所在地ならだいたいやってます。三重は鈴鹿だけど。
これもうレズと青い鳥やろ。ていうか首長くね?
鎧塚みぞれと傘木希美のためのお話なわけですが、二人がオーボエとフルートでの掛け合いパートを演奏するとかもうね。「オーボエからフルートへ語りかけ、そしてまたフルートからオーボエに語りかけるように」と滝先生が指示するし、これ実質
みぞれが希美を校門の階段で待って、一緒に吹部へ行くあたりもしかしてアニメよりも前の話なのか?と思いました。音楽室で久美子と麗奈が出てきてああアニメの後かとなりましたが。
対照的なみぞれと希美
みぞれと希美のための話なので、二人の対比が各所に散りばめられていますね。
・明るく誰とでも仲良くできみんなの中心になっている希美。1人で黙々とオーボエを吹くみぞれ。
・フルートの後輩たちとファミレスに寄って帰る希美。オーボエの後輩剣崎梨々花からの誘いに塩対応なみぞれ。
・リズと青い鳥を子どものころに読んだ希美。読んだことのないみぞれ。
・図書委員の子の注意にさくっと返事できる希美。黙っているだけのみぞれ。
・みんなでお祭りに行こうと誘う希美。希美と二人だけでいいみぞれ。
・吹部に入ろうと誘った希美。帰宅部で何もやっていなかったみぞれ。
梨々花に相談された時希美が「みぞれってちょっと不思議なところがあるからな~」と答えたように、みぞれはちょっと社会にすんなり馴染むとはいきませんね。希美が社交的なだけに、内向的なみぞれが引き立ちます。
逆転する二人の関係
しかしこれが音楽のこととなると変わります。
・オーボエをずっと続けたみぞれ。一度フルートを辞めた希美。
・新山さんから音大を勧められるみぞれ。声をかけられない希美。
・麗奈に「希美先輩に遠慮して手加減してるんじゃないか、鎧塚先輩の全力が聞きたい」と言われるみぞれ。
友だちとしていつも希美の後ろを追いかけていたのはみぞれのほうでした。しかし楽器のことになると、みぞれはもう希美のはるか先にいたのです。だから希美は少しでもみぞれに追いつけるように「音大志望」なんて大きな夢を語って自分を大きく見せてみたんですね。
しかしみぞれは「自分が希美を追いかけている」と思っているので、希美が無理して音大志望なんて言っていることがわからないのです。希美と一緒の大学に行けるなんて喜んでます。かわいいですね。
ソロパートの掛け合いがうまくいかず、二人は物語のリズと少女の別れを今一度見つめ直します。そのときに二人の立場が入れ替わるのです。
希美を追いかけて、希美を逃さないようにカゴに閉じ込めていたのではありません。いつの間にかみぞれを希美というカゴの中に閉じ込めてしまっていたのです。ですがみぞれには広い空へ羽ばたくための翼が生まれていたのです。
青い鳥の成長と巣立ち
こうして青い鳥はみぞれだったということが明らかになってから振り返ると、リズ=希美:青い鳥=みぞれという関係もそうですが、青いひな鳥が立派に育ち飛び立っていくさまも描かれてましたね。
オーボエを始めたのは希美が誘ったから。梨々花がみぞれに声をかけ続けられたのも希美が「みぞれはちょっと不思議なところがあるけど、梨々花ちゃんを嫌ってるわけじゃないよ」と言ってくれたから。みぞれが梨々花にリードを作ってあげることをきっかけに後輩たちと関わるようになったのは希美がいつも後輩たちに囲まれて仲良くしているところを見ていたから。
みぞれはいつも希美を見ていたのです。大好きのハグをしたときに今までうまく言えなかった気持ちを吐き出します。そして希美を見続ける中でみぞれもまた成長していたのです。
だから希美は青い鳥を逃してやるために「みぞれのオーボエが好き」と言ったのです。いつまでも希美のためだけにオーボエをやるにはみぞれの才能は大きすぎたのだから。
それに希美は知っていました。たとえ青い鳥が旅立っても「リズに会いたくなったらまた戻ってこればいい」と。別の道を行くことになっても永遠の別離というわけではありません。